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オルト

鶴巻育子写真集

作家メッセージ

1 隣にいる人

2 ※写真はイメージです

3 見ることとは何か

インタビュー 大沢郁恵さん

インタビュー 末棟武虎さん

インタビュー 難波創太さん

プロフィール​

末棟武虎さん
2004年生まれ。10歳の頃に野球のコーチが練習中の異変に気付き、複数の病院を受診するも原因判明で視神経萎縮と仮の診断を受ける。中学1年の時突然症状が悪化し、現在は右目は光覚、左目は失明。ギターが趣味で仲間とバンドを組み、大学生活を謳歌している。

光覚…目の前で照明を点滅させたとき明暗が識別できる状態


カメラを持つと変化に敏感になるっておもしろい。
撮影地:1回目 護国寺

(鶴巻)歩きながら写真を撮るのは初めてだったと思うけどどでしたか?

(武虎)今日は換気扇の音とか車の音とかもいつもと全然違うように聞こえたことに驚きました。普段より意識してたんだなって思いました。カメラを持つと変化にすごく敏感になるっておもしろいですね。

(鶴巻)最初の方はちょっとゆっくりめでコツを掴めてない感じがしてたように見えましたけど…

(武虎)最初はちょっとずつ感覚を掴もうかなって感じでした。スマホは押しても画面タップしているだけだから、同じ撮るでもカメラだと全く違うって感じがしました。

(武虎母)武虎にとって自分で撮った写真ってどんな意味があると思う?

(武虎)今3月だけど年末とかになって写真を見返した時、こんなことがあったねとか思い出せれば楽しいかな。誰かとその思い出を共有できることに意味があると思う。

(武虎母)情報を伝えても撮らない時と食いつく時とあって、私がこれ撮ったら良さそうと思って伝えても、武虎からすると興味ないんだなって。自分の中で選んでいるんだなって思ったよ。

(武虎)そうだね。情報をもらっても興味なければ撮らなかった。今回は自分が気になったり、歩いている途中で変化を感じたところで撮っていたかな。たとえば、公園で何かの練習をしている声とか、あとは住宅街を抜けて車通りが激しくなった瞬間とか、情報を聞いて面白そうだったり珍しいなと思ったところを撮った感じだった。

(鶴巻)今回撮った写真はいろんな人が見ることになるけど、意識しましたか?

(武虎)作品って言ってしまうとひとつの仕事になってしまうから…どんなこともそうですけど、自分の好きにやるのと誰かが見ることを前提で考えないといけないものでは内容が変わる気がしました。意識し過ぎると自分が思うものと違うのが出来てしまうから今日は割とラフな気持ちで撮りました。初めてだったので少し疲れたけど、発見があって楽しかったです。


撮影地:2回目 亀戸・一之江

(鶴巻)前回の撮影と比べて変わったことはありましたか?

(武虎)今回は地元や記憶にある場所を選んだので、こういうのが撮りたいというのが明確になっていました。何度も歩いている道でも、今まで見ていなかったものとかを意識的に撮りました。なので、今日も目的地に行くまでの新しい発見もたくさんありました。

(鶴巻)言葉の情報がある方が撮りやすかったですか?

(武虎)場所によるかな。亀戸の歩道橋とか地元の駅周辺は慣れている場所なので、情報がなくても結構撮れた気がします。音の情報も頼りにしましたが、あとは風かな。橋の上では他の場所と違って風が心地よくて落ち着く感じがありました。

(鶴巻)考えながら慎重に撮っているように見えましたが、武虎くんは元々慎重派なのかなって思ってみてました。

(武虎)そんなことないですね。慎重にというか、前回はフラットに撮っていたけど今回は情報を得てしっかり撮ってみたいと思っていたのでそう見えたのかもしれないですね。

(鶴巻)2回の撮影で武虎くんが一番テンション上がってたのは、1回目の撮影で同級生を撮った時ですよね。

(武虎)ははは。彼とは今一緒にバンドをやっているし付き合いが長いからかな。会う前に彼には写真撮るって言ってなかったので「何してるんだろう」って不思議に思っているのが伝わってきて、それが面白くて(笑)。白杖の音がだんだん僕の方に近づいてきたので、そっちの方向にカメラを向けて連写しました。

(鶴巻)なんで写真撮っているかお友達に最後まで説明しないで別れましたよね。通じ合っている感じがして仲が良いのが伝わってきましたよ。ところで写真にハマりそう?

(武虎)どうかな。でもバンドの練習した時とか記憶に残りそうな日に、自分たちだったり周りの景色だとかを撮るのは悪くないのかな。その時の感情によって捉え方も変わるのかなって思ったので、撮ってみるのも面白いかもしれないですね。

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